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アラックのボナ

「ババ抜き」ゲーム

ジャカルタコラム

「ババ抜き」ゲーム◆

ジャカルタでも「カリフール」などの大型スーパーマーケットが繁盛している。

“パサール”と呼ばれる伝統的な市場などより、大量仕入れ・大量販売の利点を生かして、値段も安いからあまり裕福でない庶民にも人気がある。

こうした大型スーパーの支払いカウンターでは、土日ともなると買い物籠を下げた客が列を成し、支払いにもかなり時間を取られる。

どこの店舗でも、この支払いカウンターを通り過ぎた辺りで必ずといってよいほど目に入るのが「銀行の出店」だ。

「口座を開設してクレジットカードを作りませんか」というプロモーションを行っている。

たった今通過した支払いカウンターでは、
「私の前の客はカードで払っていた。自分は薄い財布から現金を取り出して支払った」・・・なんとなく損をした気分になるのか・・

かなりの人たちが、ここでカードを作っているようだ。

名前、住所、勤め先や「KTP」という身分証明書を提示すれば、いとも簡単に「クレジット・カード」が出来上がってしまうようだ。

聞くところによると最初の200万ルピア位までは、これで問題なく使用できるとのことだ。
「銀行の出店」は一行ではないので、中にはまとめて
2行、3行とカードを発行してもらう“モサ”もいるらしい。

こうして「カード地獄」に取り込まれてしまった人たちが、結構な数に上る。

支払いが滞ってしまった人たちに対し、銀行側は「支払い督促」を行うが、なかなか回収の目処が立たないと、「債権回収業者」に業務を委託することになる。

インドネシアの“怖い”ところは、この回収業者が、はっきり言って「暴力団」に近い輩だということだ。

国営の大銀行でさえ、いとも簡単に「個人情報」を含めた債務者の情報を「暴力団」に流し、回収を依頼している。
(一説によると、回収された金額の半分以上が、回収業者の利益に消えてしまうとのことだが銀行としてはゼロより良いとのことだ)

暴力団」ともなれば、「個人補償」を入れているかどうかなど法的な問題には関係なく、その債務者の家族はもとより、どうやって調べるのか・・かなり遠い親族・友人などにまで「取立て」の手を伸ばす。

インドネシアの女性と結婚していた日本人の某友人。
ある時、そんな暴力団から自宅に電話があったとのことだ。


「女房の遠い親戚らしいが、顔も見たことが無い。
その親戚の一人が取立てを受けていて、それが彼のところに回ってきたようだ

電話の声を聞いただけで“震えがくる”恐ろしい脅し文句。

「日本人ならそのくらい何とかしろよ、自分の家族が心配じゃないのか・・・」

一回二回ではない。
毎日
45回の電話が一ヶ月近く続き、ノイローゼになりそう。

「払わないのも悪いが、何の調査もせずに簡単にカードを渡す銀行もヒドイ」とこぼしていた。

これと同じような事態が今、「金融テクノロジー」という名の“厚化粧”で装われ、世界的な規模で進行している。

「支払い能力が疑われる」人たちに住宅を売りつけていた「サブプライムローン」もそうだし、高い車を売っていた「GM」を始めとする自動車産業も同様だ。

先日放送された「NHKスぺシャル」を見ていた。

「空き瓶の回収をして生活している貧しい庶民に、800万円もする高い車を売っていた」という“GM”クレジット部門の子会社の実態をレポートしていた。

いつかは破綻するのが当然。

ブランド物のスーツを身にまとい、高額な報酬を得ているこうした金融テクノロジーを駆使する「エリート」たち。

だけど、やっていることはインドネシアの銀行や暴力団より悪質だ。

回収不能な債権を「証券化」というテクニックによって、他人に売りさばく。

「格付け会社」が登場し、他にも似たような「回収不能」な債権を一般的な債権の中に潜り込ませ、組み合わせて「優良証券」として世界中に売りさばいてきたわけだ。

トランプに「ババ抜き」というゲームがあることをご存知だろうか。
トランプのカードに一枚だけ「ジョーカー」を入れておいて、何人かのプレーヤーに配る。

プレーヤーは次々と隣からカードを取り、数のあったカードは“上がり”となるが、最後に「ジョーカー」(ババ)を取ったプレーヤーが負けとなる。

今、この最後に「ジョーカー」(ババ)を引いて負けたのは誰なのか。

大手の金融業界や自動車会社には、想像を絶する巨額な「税金」がつぎ込まれようとしている。
再建計画の目玉は労働者の大量解雇だ。

就任直後のオバマ大統領は、この税金の投入によって救済を受ける金融業界の首脳に対し、“SHAME”(恥ずべきこと)という言葉を使って、巨額な報酬を非難し、制限した。

アメリカ発の金融恐慌が実体経済にも打撃を与え、弱体化させている。

いくら“SHAME”と非難されようが、懲りない面々・・
「自分のところを倒産させれば、影響はもっと大きくなる」と、一種の開き直りとも思える言辞で反省の言葉もそぞろ。

結局「ババ」を掴むのは、いつも弱者ということか・・・・

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